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SAJポイント、TD制度、学生チャンピオン大会
アルペンの種目及びクロスカントリーは「速さ」、即ち所要時間を争そう競技である。
しかし陸上競技や水泳などと違って、100m何秒というような絶対的な基準があるわけ
ではない。あくまで順位を争そう競技である。一つ一つの競技会が条件が異なるからであ
る。よって、強い選手が何人も出場していれば順位は下がるかもしれないし、そうでない
場合は順位は上がるかもしれない。従って全国規模の大きな大会を除いては順位は必ずし
も選手の実力をあらわさない可能性がある。そこで、異なる競技会の成績を比較可能にす
るためにポイントという指標が考え出された。その詳細はここでは触れることは出来ない
が、手短に言えば、強い選手の出ている競技会で良い順位を得た者は良いポイント(小さ
なポイント)が得られるという仕組みになっている。これは、もともとFISにおいて考
案され採用されたものであるが、日本国内の大会も国際的な標準に合わせてゆく必要があ
る事から、札幌オリンピックの後何年かの試行期間を経て、昭和55年(1980年)S
AJは日本独自のSAJポイントを作成し、正式に採用する事になった。これ以後ポイン
ト順にスタート順を決めることにより選手の実力に相応した条件が与えられる事になった。
同時に競技会のカテゴリーも全国規模の大会をA級大会、地域ブロック規模の大会をB
級大会としてそれぞれSAJ公認大会として分類分けする事になった。
このように大会が厳密になってくると当然、それぞれの大会が条件を満たしルールどう りに運営されているかどうかを、大会運営に加わりかつSAJの立場から監視する人が必 要となる。この役割を果たすものがSAJ派遣の技術代表(technicaldelegateいわゆる TD)である。それまでは大会を主管する地元にすべてが任されていたのであるが、しば しば天候などの理由から、大会の運営がルールどうり行われないことがあった。 このTD派遣制度が取り入れられてからは、大会をルールに沿って運営することの重要 性が認識され、恣意的な大会運営は無くなった。このようにTDは大きな権限を持つので、 TDになる者はTD資格のある者に限定し、TD資格は数次の研修及び試験を含む慎重な 審査を経て与えられるものとしている。公認A級、B級セッター資格も同じ時期に定めら れた。
インターカレッジでも昭和55年(1980年)、第53回大会からTD制度を採用し ている。またインターカレッジでは学校対抗で、1部2部と学校が区分されているために ポイントの良い選手が必ずしも早いスタート順が割り当てられない事がある。これではイ ンターカレッジでの順位は個人の真の実力をあらわしたものとは言えないことになる。 そこで大学がどの部に属していようと選手個人をポイント別にスタート順をあてて、学生 選手の真の順位を決める大会があるべきである。このような考えに基づいて、昭和61年 (1986年1月)から学生アルペンチャンピオン大会が志賀高原において開始された。 同じくクロスカントリーも学生チャンピオン大会が昭和61年12月から北海道音威子 府において開始された。
インターカレッジでは長いこと学校対抗戦の枠組みを重視してインターカレッジ・ルー ルとして学校別にスタート順が与えられていた。そのために、強い選手を何人も有する学 校にあっては、他の学校の弱い選手の後にスタートが割り当てられることがあり、そのよ うなときには選手は実力どうりの力をなかなか発揮できないという嫌いがあった。そこで インターカレッジも昭和63年(1988年)、61回大会より、アルペン競技において 1部・2部・3部の枠内でスタート順にポイント制を導入することになった。以後は上の ような弊害は除かれることになる。当然良いポイントを持った選手が上位を占めることが 期待されるのであるが、それにより、競技会は選手の力を試すばかりでなく、競技会その ものが選手達によって試されるという性格を帯びるようになった。すなわち、ポイントの 良い選手が順当に上位に入る競技会は良い大会であるとされるようになったのである。そ れ以前は大番狂わせということがしばしば起きたのであるが、これ以後は殆ど姿を消すよ うになった。コース整備が行き届き、フロックが起きないようなコースの選択やポールセ ットがなされるようになったからである。 しかしその反面、個々の競技会が画一的なも のとなり大会の個性が失われるようになったという見方もある。また、ポイントを重視す る個々の選手からすれば、インターカレッジも数多くあるSAJ大会の一つとみなされる 傾向が現われてきたのもやむを得ないことである。 アルペンにポイントが導入されたの に対して多くの男子3部4部女子2部の選手はポイントをもっていなかった。SAJ公認 大会にはSAJポイントをもって出場すべきである。そうであるならば、学連選手にどこ かでポイントを取得させる必要がある。こうして平成6年(1994年)よりアルペンス テップアップレースが開始された。
理論的にはSAJ大会が終了するたびに個人のSAJポイントは変わる、そのポイント をもって次の競技会に臨むことになる。全国各地で開かれているSAJ大会に出場した全 選手に対してこれが行われなけらばならない。従って、総てのSAJ大会において大会終 了後直ちに参加全選手の成績をSAJデータバンクにパソコン通信で送り、データバンク は各地から送られてきた成績からポイントを計算して全SAJ選手のポイントを更新して 再び競技主催県連送り返し、最新のポイントをもとに競技を行えるようにしている。この 作業は膨大かつ煩雑なので実際にはアルペンはシーズン中4回更新され、クロスカントリ ーは3回更新されている。印刷物配布するのはどちらも年1回である。学生スキー連盟は 平成6年(1993年)よりネットワークに加入しデータの受信を行うようになった。
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